入試時期
年2回(第1次<9月>,第2次<2月>
募集人数
第一次:20名(学校教育学領域との合計),第二次:若干名
出願期間
第一次:2024年8月23日(金) ~8月29日(木)
第二次:2025年2月6日(木) ~2月13日(木)
試験日
第一次:2024年9月10日(火)~11日(水)
第二次:2025年2月26日(水)~27日(木)
試験科目
英語,専門基礎,専門,面接
提出書類
履歴書,成績証明書,卒業(見込)証明書,研究計画書
社会人入試
英語,専門基礎,面接
合格発表日
第一次:2024年9月17日(火)
第二次:2025年3月7日(金)
応募状況
■過去の入試結果(一般・推薦他・社会人・外国人の合計)
・2020年度:志願者20名、合格者12名
・2019年度:志願者35名、合格者17名
・2018年度:志願者24名、合格者15名
・2017年度:志願者7名、合格者3名
・2016年度:志願者16名、合格者10名
・2015年度:志願者18名、合格者10名
入試説明会
大学院進学について質問等あれば、文学部事務室へお問い合わせください。
研究科の概要・特色
関西学院大学大学院文学研究科は、現在の大学院制度が発足した1950年にいちはやく修士課程(現・博士課程前期課程)をスタートさせ、1954年には博士課程(現・博士課程後期課程)を開設、以来多くの研究者や専門家を世に送り出しています。
文学研究科は、人文科学領域で世界の高度な学問の進展に応じた研究を推進し、その成果を学界、教育界、一般社会に還元することを目的にしています。12の学術領域においてその発展に寄与する専門的研究者、高い専門性を活かして実社会のさまざまな舞台で活躍することができる高度専門職業人、知識基盤社会を支える高度で知的な素養のある人材を育成することを目指しています。
求める人材
文学研究科は、人文科学の深い学識に裏付けられた人間形成と、卓抜した水準における学術研究を通じた社会への貢献を目的としています。多彩な人文科学の高度な教育・研究のために、本文学研究科は文化歴史学専攻、総合心理科学専攻、文学言語学専攻の三専攻で構成され、さらに前期課程は 12、後期課程は 11 の領域に区分されます。どの領域に所属しても院生が自分の研究テーマを明確にして主体的に取り組むことが求められる研究演習と、それぞれの領域の専門科目を幅広く開講しています。前期課程においては、豊かな人間性と幅広い教養をそなえた高度専門職を養成し、さらに研究者養成の第一段階として高度な専門的知識を教授するとともに創造的な研究のための柔軟な思考能力と優れた技能を育成します。後期課程においては、高度な研究の継承とそれを創造的に推進する博士学位をもつ優れた研究者を養成します。人文科学の領域において、現代の高度な学問の進展に応じた研究を推進し、その研究の成果を学界、教育界、一般社会に還元することを重視しています。こうした方針に基づいて入学試験科目を設定し、入学者選抜を行います。
担当教員
●有光 興記 教授
【専門】パーソナリティ心理学、臨床感情科学
私たちは、幸福になるために、人より成功しようと努力します。そして、うまくいかないと思って不安になったり、失敗してひどく落ち込んだりします。また、うまくいっても手に入れたものを失うことを恐れたり、もっと欲しいと思って懸命な努力を続けて、幸せな気分を味わうことがありません。どうすれば不安や落ち込みから開放され、幸せを感じられるようになれるのか―それが、私の研究室のテーマです。 これまで、“あがり”や罪悪感を経験しやすい人のパーソナリティやそれらの感情への有効な対処行動について研究を行ってきました。臨床現場では、様々な心理検査を実施し、不安症や発達症への認知行動療法を実践しています。近年は、慈悲とマインドフルネス瞑想が肯定的感情、否定的感情に及ぼす効果について研究を行っています。
● 伊藤 友一 助教
【専門】認知心理学、記憶
私の専門は認知心理学です。認知とは,生体が情報を収集・処理する活動を指す言葉です。すなわち認知心理学では,情報を収集するために必要となる知覚や注意,手に入れた情報を頭に留めておくための処理である記憶,それらの情報を基に自身の行動を想像・計画・決定する処理である思考や意思決定など,頭の中で行われるあらゆる心の働きや現象が研究対象となっています。そのような認知活動はそれぞれ個別に行われているわけではありません。何に注意を向けるかで記憶する内容が変わり,記憶した内容に応じて思考や意思決定内容も変わります。注意を向ける対象も人によって違うこともあるでしょう。私の研究室では,人間の記憶や思考,意思決定など,相互に絡み合った様々な認知活動の背景に,どのような仕組みや個人差が存在しているのかについて研究を行っています。
● 大竹 恵子 教授
【専門】健康心理学、心身の健康増進、ポジティブ感情、幸福
私の専門は健康心理学です。健康心理学とは、心身の健康の維持・促進を目指した心理学の応用領域で、さまざまな心理学の領域とその成果はもちろん、公衆衛生や疫学、社会学などの他領域とも密接に関連した研究分野です。とくに、健康行動のメカニズムを解明し、予防的なアプローチを行っています。例えば、中高生を対象に喫煙防止教育を実施し、その介入効果を検討したり、食行動の特徴とおいしさに関する研究を行っています。また、感情の中でもとくにポジティブ感情の機能に焦点をあて、人間が持っているポジティブな個人特性と幸福感についても研究を進めています。現代社会の要請に基づいて健康に関する予防対策を考え、社会に貢献できる心理学の研究をめざしています。
● 小川 洋和 教授
【専門】知覚心理学、認知心理学
私たちは自分の周りの世界に有りのままに知覚しているように感じていますが、実際には知覚される世界は様々な形でゆがんでいて、物理世界と同一ではありません。それなのに、私たちが普段なんの問題もなくその世界の中で行動できている(ように感じている)のはなぜなのでしょうか?
私たちが意識的に行っているように感じている様々な認知活動や行動は、実はその大部分が意識に上らない無意識的な処理によることが最近の研究でわかってきています。その潜在的知覚・認知過程の働きを、巧妙にデザインされた実験によってあぶり出し、メカニズムを解明することが私の研究テーマです。現在は、情報の取捨選択を行う注意メカニズム、無意識的な学習・記憶、内発的な報酬系の役割、対人印象の形成過程、無意識的思考、熟練による直感力の向上など、幅広いテーマについて研究を進めています。
● 小野 久江 教授
【専門】気分障害(うつ病)の臨床、向精神薬の臨床研究、自殺の分子精神医学的研究
私は自殺予防をテーマとし、大別して3つの研究を行っています。第一の研究は、自殺の分子精神医学的研究です。この研究では、自殺の背景にある生物学的脆弱性を明らかにすることを目的としています。主としてモノアミン関連遺伝子多型と自殺との相関を調べています。第二の研究は、向精神薬(抗うつ薬、抗精神病薬など)の有効性・安全性の科学的検証です。具体的には、臨床試験のデザインや評価尺度の妥当性の検討をしています。第三の研究は、気分障害(うつ病)の臨床研究です。自殺者の90%以上に何らかの精神疾患が関与しているとの報告があり、その代表的疾患が気分障害(うつ病)です。気分障害(うつ病)の症例研究を通じて自殺予防に役立てようと考えています。以上のように、基礎から臨床までの幅広い分野における科学的な自殺予防研究を行っています。
● 片山 順一 教授
【専門】認知心理生理学、認知神経科学、心理工学
われわれは「変化」に対して非常に敏感です。変化に気づくためには、時々刻々と入力される環境からの情報と、それ以前の情報に基づく予測との比較照合が必要です。その結果ミスマッチが生じると注意が引き付けられ意識化されるのです。
しかし、ミスマッチが生じるまでの過程はわれわれの意識には上りません。そのため、このメカニズムを探るには前意識段階での情報処理過程を検討可能な指標が必要となります。頭皮上から記録される事象関連脳電位(ERP)を指標として、知覚、注意、情動、記憶といった認知過程の解明や認知機能を評価するための研究、さらに、これらの成果を実生活に応用するための心理工学研究を行っています。
● 桂田 恵美子 教授
【専門】子どもの社会適応、愛着、ジェンダー
育児や子どもについてさまざまな問題が取り上げられている昨今、子どもが親との安定した愛着を持っている、そして、子どもが安定した愛着を形成できる親のかかわりというものが重要だと考えています。子どもの健全な発達を念頭に、子どもの社会適応にかかわるさまざまな要因に関心を持っています。具体的には幼児の攻撃行動とその要因と考えられる愛着や親の養育行動、子ども自身の偏った認知や気質などとの関連について研究しています。また、私のもう一つの研究の柱として、ジェンダー研究があります。男女共同参画社会の現在、人々の性役割意識はかなり平等主義的になってきています。また、性格面での男性性・女性性における男女差はあまりないという研究結果が出ています。しかし、一方で性役割分業はいまだに歴然として行なわれており、そうした社会の中でおこる心理的葛藤に注目して研究しています。
● 佐藤 暢哉 教授
【専門】認知神経科学、行動神経科学、空間認知、記憶
眼や耳から入ってきた情報は、それ自体は光や空気の振動でしかありません。このような情報を、どのようにして私たちは意味ある情報として認識しているのでしょうか。日頃、何の疑いもなく見聞きしていることは、私たちの脳内での多くの処理をとおして意識に上っています。また、私たちは普段、自分で気づいていないうちに色々なことをおこなっています。たとえば、いつも通る帰り道などは特に意識しないでもたどることができます。途中で寄らないといけないところがあるのに、ボーッとしていて気づくと家まで戻って来てしまってた、などということはありませんか?自宅まで間違えずにたどり着くのはとても複雑な行動であるはずですが、私たちは特に意識することなく、それをやり遂げることができるのです。このような私たちがおこなっている意識的・無意識的な行動を、脳における処理という点から理解することを目指して研究をおこなっています。
● 佐藤 寛 教授
【専門】臨床心理学,認知行動療法,臨床児童青年心理学
私の専門は臨床心理学で,子どもから大人まで幅広い年齢層の心の問題に関する研究と実践に携わっています。特に認知行動療法の視点に基づいた心理学的技法を,臨床心理学,教育心理学,精神医学,スポーツ心理学といった分野に応用しています。科学者-実践家モデル(scientist-practitioner model)の考え方を大切にしながら,実践に役立てることを視野に入れた研究を行うとともに,科学的知見への深い理解からクライエントの生活の改善に貢献できる実践を展開することを目標にしています。
● 嶋崎 恒雄 教授
【専門】思考、学習、実験心理学
我々を取り巻く世界は情報に満ちています。我々はこれらの情報を取捨選択し、組み合わせ、新しいものを創り出し、それらを適切に利用し、この世界の中で生きています。“思考”や“問題解決”という言葉から皆さんはすぐに入学試験や受験勉強などを連想するかも知れません。それらも確かに“思考”の一つの側面ではあります。しかし、我々の生存そのものも間断のない“思考”や“問題解決”に支えられていると考えることができます。
私は「思考心理学」とよばれる領域のなかで、このような問題解決や推論がどのような過程を経て行なわれるのか、またそのために必要となる新しい情報の獲得・生成、すなわち学習がどのような過程を経てなされてゆくのかということについて、実験心理学的な観点からの研究を行なっています。また、このような情報処理の過程を計算機上で再現する研究(計算機シミュレーション)にも関心を持っています。
●中島 定彦 教授
【専門】学習心理学、行動分析学、動物心理学、ヒトと動物の関係学
パヴロフの犬の話はだれでも聞いたことがあるでしょう。ベルの音を鳴らして餌を与えるということを繰り返すと、そのうちベルの音だけで、犬は唾液を流すようになります。これが条件反射(古典的条件づけ)と呼ばれるものの一例です。古典的条件づけは、経験による行動変容の一種で、われわれ人間から無脊椎動物にいたるまでほとんど全ての動物が有している学習メカニズムです。このように人間を含めた多くの動物に共通する学習メカニズムを実験的に解明することが私の研究課題です。
われわれ人間を含めて、動物は環境から得た情報を処理する認知機能を有していますが、この認知機能がどのように進化してきたのか、現存の各動物種の認知機能はどのような特徴をもっているかを比較検討する「比較認知科学」も専門としています。また、ヒトと動物のさまざまな関係についても心理学の立場から研究しています。
● 成田 健一 教授
【専門】生涯発達心理学、精神的健康、質問紙法
発達を広く一生の問題として捉える生涯発達心理学的視点から、広義の精神的健康を自己報告式の質問紙によって測定することに興味を持っています。高齢社会と言われて久しいわが国ですが、高齢者と言ってもその実情は様々です。私たちはその実情をあまり知らずに、したり顔で評論しがちです。では、実際に青年期~成人期~老年期など、それぞれの時期によって、精神的健康に関連する心理学的な諸概念はどのように変化するのでしょうか?また構成概念を測定する指標として何が適当なのでしょうか?自己報告式の質問紙は測定が簡単であるため、安易に使われやすいものです。同じ言葉を使えば、年齢群が異なっていても同じように測定できるでしょうか?人の持つ多様性が花開く老年期における精神的健康や関連する構成概念を、他の時期との比較の上で、どのように測定するかという問題は難しくもあり、面白いものだと感じています。
● 一言 英文 准教授
【専門】比較文化心理学、文化とウェル・ビーイング、文化と自己
私たちの心の働きは、身体内の機序だけでなく、それが実際に活動する社会の仕組みによっても支えられています。たとえば、秒単位で正しい時刻に到着する電車を使って暮らしていれば、時間に几帳面な心を持つに至るでしょう。では、そもそもなぜこういった社会は時間に厳密になったのでしょうか。このような社会では遅刻はどういった意味を持つでしょうか。また、几帳面な心を持つ、とは、私達の心の中の、一体何が、どのように変化したことを言うのでしょうか。さらに、時間感覚の他に、私たちの心を支えている社会の仕組みには、一体どのようなものが、いくつ存在するのでしょうか。
私が専門にする比較文化心理学では、心を支えるという意味で本質的な文化の違いを比較し、心や行動が、どのように人として必然的に多様なのかを実証的に明らかにします。私自身は、自己や感情の文化比較を通し、上記の観点で調査や実験に取り組んでいます。
私が研究の道を選んだのは、自らが幼い頃に異文化体験をし、文化が異なると人の考え方・感じ方・振る舞いには言葉以上の違いがあると痛感したためです。国際的な時代であるからこそ、求められ、人の社会性について問うことのできる心理学を、一緒に学びませんか。
● 米山 直樹 教授
【専門】臨床心理学、行動療法、応用行動分析
私の専門領域は臨床心理学で、主に不登校や発達障害のお子さんへの支援の在り方について実践・研究を進めてきました。そこで用いてきた方法論は学習理論に基づく行動療法や応用行動分析を中心とした行動論的アプローチと呼ばれるものです。これは問題の発生原因を本人の内面のみに求めるのではなく、あくまでも環境と個体との相互作用上に生じた不具合として捉え、双方に働きかけることで問題の改善を試みるという特徴をもっています。従って、臨床場面における効果測定の際には、具体的・客観的定義を基にした観察可能な対象を取り上げて取り組むようにしています。最近は大学内のプレイルームにおいて、発達障害のお子さんを対象とした個別支援の研究を行っている他、地域の特別支援学校や発達相談機関と連携して、ご本人やご家族への支援方法の開発や分析を行っています。
● 赤尾 依子 助手
【専門】発達心理学,教育心理学,特別支援教育
私の専門は発達心理学と教育心理学です。発達心理学と教育心理学は密接に関わっています。ロシアの心理学者であるヴィゴツキーは発達から考える教育の可能性について,「発達の最近接領域」という概念を使用して説明しています。
子どもの知的水準には2種類あると考えられます。1つ目は,「自分でやり遂げることが出来る現在の水準」です。2つ目は,「大人の指導や仲間との共同作業(模倣も含む)があればやり遂げることのできる水準」です。そして,この2つの水準の相異が,子どもの「発達の最近接領域」となるわけです。教育はこの領域に入る課題を取り上げ,発達を押し上げる役割を果たすべきだとヴィゴツキーは唱えました。
私は,現在,発達障害児やグレーゾーンの子ども達の読字困難の原因の解明と教育的支援について研究を行っています。一人一人の個性を活かしつつ,子ども達の「発達の最近接領域」に働きかけられる教育方法の提案や,教材開発に取り組んでいます。
● 陳 香純 助手
【専門】比較認知科学, 行動分析学, ヒトと動物の関係学
心理学には, ヒトのこころを対象とした研究だけではなく, 動物のこころを対象とした研究もあります。ヒトと動物のこころの働きについて比較する, このような分野のことを比較認知科学と呼びます。私は主に, 水族館で飼育されているイルカを対象に実験や行動観察を行っています。イルカと聞くと, 賢いといったイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。確かに彼らの行動を見ていると, ヒトと同じような知性や能力を持っていると感じてしまうことがあるかもしれません。実は, 彼らの認知能力や社会的な行動については, まだ分かっていないことが数多くあり, 飼育場面でも不思議な行動がよく観察されています。特に, 私はイルカの自己認知や水族館における飼育方法に関心があります。イルカとは一体どんな生き物なのか, それについて心理学の立場から研究を行い, 得られた知見を水族館の飼育場面に活かすことを目標としています。また, 水族館来館者が動物を見てどんなことを感じているのか, 展示物からどのようなことを学んでいるのかということについても研究を行っています。「可愛い」「癒された」といった一言で終わらない展示とは何かについても日々考えています。