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臨床心理士の定義

臨床心理学に基づいた知識と技術で援助する専門職は、日本では、心理カウンセラー、サイコセラピスト、心理士、心理相談員など、さまざまな名称で呼ばれています。 「臨床心理士」は、これらのうち、財団法人日本臨床心理士資格認定協会の資格試験に合格し 資格免許を取得した心理専門職です。「臨床心理士」の資格試験は、だれでも受験できるわけ ではなく、受験資格を備えてなければいけません。受験資格は、大学院修士レベルの一定の教育課程を 修了した者、具体的には以下の基準のいずれかに該当する必要があります。

  1. 指定大学院(1種・2種で異なる)を修了した者
  2. 専門職大学院を修了した者
  3. 諸外国で上記1または2のいずれかと同等以上の教育歴および必要な心理臨床経験を有する者
  4. 医師免許取得者で、必要な心理臨床経験を有する者

臨床心理士は、人(クライエント)にかかわり、人に影響を与える専門家です。個々の人の 価値観を尊重しながら自己実現の援助をする専門家です。

臨床心理士の専門業務

次の専門業務が臨床心理士に求められています。

  1. 臨床心理査定
  2. 臨床心理面接
  3. 臨床心理的地域援助
  4. 上記1~3に関連する調査・研究・発表

これらの四つの領域に関連する専門性についてすべてにバランスよく総合された専門資質を 身に付けることが必要です。

臨床心理士の資格

臨床心理士の「資格」は、財団法人 日本臨床心理士資格認定協会が行う「資格審査」を 受けて、「資格試験」に合格して初めて取得できます。

「資格試験」は、一次試験と二次試験で行われます。合格の判定は、この一次と二次の試験 の成績を総合して行います。「多肢選択方式による試験、論述記述試験と口述面接試験」のそ れぞれの成績を総合して審査されます。

一次試験(筆記試験)
100題の設問に回答するマークシート方式の試験
心理臨床に関連するテーマについて論述試験
二次試験(口述面接試験)
複数の面接試験担当者による口述面接試験

活動領域と業務内容

臨床心理士の活動領域は、極めて広範囲に及んでいます。 さまざまな場面で心の健康を支えています。

教育
公立教育相談機関、教育委員会 幼稚園、小学校、中学校、高等学校、 予備校(職名はスクールカウンセラー、教育相談員など)
医療・保健
病院・クリニック
保健所・保健センター
老人保健施設など
司法・法務・警察
司法関係期間(家庭裁判所など)
法務関係機関(少年鑑別所など)
警察関係機関(相談室・科学捜査研究所など)
大学・研究所
大学(学生相談室を含む)
専門学校・研究機関
大学付属臨床心理センターなど
福祉
児童関連(児童相談所など)
障害関連(障害者相談機関など)
女性関連(相談センターなど)
高齢者福祉施設など
産業・労働
企業内の健康管理センター・
相談室、外部EAP機関
公共職業安定所
障害者職業センターなど
私設心理相談
個人又はグループで運営している 心理相談機関、 カウンセリングセンターなど

指定大学院の種類

臨床心理士資格審査心理士資格認定協会が指定する「心理系大学院」の臨床心理学系 専攻修士課程を修了することが基本要件となります。現在は「第1種指定大学院」「第2種指定 大学院」「専門職大学院」の3種類があり、それぞれに特徴は以下の通りです。

第1種指定大学院

実務実務経験なしで、 修了後すぐに臨床心理士資格審査を受験できる。

第2種指定大学院

修了後1年間の実務経験を経た後に、臨床心理士資格審査を受験できる。

専門職大学院

実務経験なしで、修了後すぐ臨床心理士資格審査 を受験でき、さらに筆記試験が一部免除される。

受験対策

心理系大学院へ入学するためには、いつ頃から、どのような準備をすることが大事なのでしょうか。各大学院によって受験科目や内容は異なりますが、臨床心理学だけではなく基礎心理学や応用心理学などの専門科目、心理用語を含む英語論文の全訳や要約などを課す外国語科目、またこれまでの研究業績や今後の研究計画書を提出した上での口頭試問など、心理学の理解が一定の水準に達していることが要求されます。志望校の要項で確認し、提出書類や各試験科目にあわせて、しっかりと対策をしていきましょう。

心理英語

他分野の大学院入試英語の傾向と同様に、心理系英語科目の出題パターンは以下の4つに大きく分類できます。 ①全訳問題 ②下線部訳・下線部指示内容問題 ③要約問題 ④その他
①については、全文をスピーディーに読解して訳すこと、また和訳全体に一貫性をもたせることが重要です。
②では構文や語句の難易度が高めの文章が選ばれることが多いので、代名詞(it, heなど)の指示内容も明確にしながら、丁寧な和訳を作成しましょう。
③では本文の主題の把握が必須ですが、どこか一部分を抜きだして和訳し、解答とするのではなく、各段落をまず要約してからそれらを統合し、文章全体のポイントを抽出するようにしましょう。
④では穴埋めや並び替え問題、英作文などが考えられますが、これは受験校によって異なりますので、志望校過去問の出題傾向を調べておきましょう。
いずれの問題形式であっても、心理系では比較的明晰な文章が出題されるので、その内容を 把握できるよう基本的な英語力を養うことが大切です。また教育・生物・臨床・実験などに関連した心理系専門用語を暗記しておくことも、適切な和訳を作成する上で必須です。

心理学

心理学系大学院の専門科目と一言で言っても、大学によって出題範囲が異なります。心理学領域全般から出題される大学もあれば、臨床心理学領域からのみの出題、または心理統計も大きな得点源となるような大学まで様々です。その出題範囲によって受験対策のあり方も変わってくるため、まず志望校の過去問をしっかり把握した上で、受験対策を練ることが必要になってきます。専門の出題パターンは以下のように分類することができます。

  1. 語句説明  (例:以下の用語の意味を説明しなさい。)
  2. 穴埋め問題 (例:【 】内に入る適切な語句を書きなさい。)
  3. 論述問題  (例:○○について論じなさい。)
  4. 事例問題
    (例:【事例】…このような場合、あなたはどのように対応するか、具体的に論じなさい。)

多くの大学で語句説明・論述問題が出題されます。用語がもつ意味・定義を的確に押さえるとともに、日頃から「書く」練習をしておくことが重要です。一方穴埋め問題では、詳細が問われる場合もあるので、基本に加えより細かな内容も確認しておくことが大切でしょう。事例問題は文献などで多くの事例に当たり、対応していくことが望まれます。専門科目においては、記述問題が多く出題されるため、日頃から「書く」ことに慣れ、第三者に添削などしてもらうのも有効な対策となるでしょう。

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