問題は、学習心理学、発達心理学、実験社会心理学、臨床心理学、統計法、パーソナリティ心理学、認知心理学などから、論述形式で毎年3~4問出題されます。
他大学とは異なり、単に用語を説明するだけでなく、より詳細に説明する能力が必要とされます。
たとえば「乳幼児期の自己意識感情について述べてください(
2005年秋期)」という問題では、単に子どもの自己意識感情(罪悪感、恥など)について述べるだけでなく、研究例などを交えて説明することや、自己意識感情と関連のある心理的機能など、多方面からの説明が要求されています。
また、統計に関しては語句の説明ができるというだけでは解答できません。その仕組みについて十分に理解していることが求められます。
さまざまな角度から心理学について説明できる能力を身につけるような勉強をすると良いでしょう。
用語集や辞書だけで勉強をするのではなく、普段から国内外の論文や本を読むこと、それによって最新の心理学の現状を知ること、研究会や講演会などに参加したり心理学の教授や院生と研究についての話をするなど、研究者としての視点を養うことが必要です。
一つの概念にとらわれず、柔軟な思考ができる視野を持つようにしましょう。
について出題。
1については、宣言的記憶と非宣言的記憶に対するそれぞれの説明だけでなく、脳研究で得られた示唆についても述べる必要があります。
脳研究で得られた結果やその研究方法について、詳細に述べることが求められます。
2、3、4についても同様に、まずは用語の説明をし、それと関連のある研究や具体的な心理現象の例を詳細に説明する必要があります。
3に関しては、一貫性を確かめるための方法も説明しなければいけません。
まずは、パーソナリティはどのように測定されるのかを考えると良いでしょう。
について出題。
1は、分散分析とはどのような分析で、どのような計算手法がなされているのかを知っていないと解答できないようになっていますが、知っている者にとっては大変容易な設問です。
たとえば、水準数についての問いに対して、問題文のどこを見れば解答できるのかは、分散分析の計算手法を知っているかどうかによります。
同様に、次に行うべき分析も同じような観点を持っていれば十分に解答できるでしょう。
2、3、4に関しては、用語の説明だけでなく、必ずその知見が得られた研究も説明することが前提となります。
について出題。
2や3は、自分の考えを終始述べるのではなく、具体的な心理的現象や研究例などを織り交ぜながら説明すると良いでしょう。
たとえば2では、基礎心理学のひとつである学習心理学の理論(たとえばオペラント条件づけ)と、臨床心理学のひとつである行動療法(たとえば発達障害児に行うトレーニング)といった、双方に関連性を持たせた説明を行うと良いでしょう。
4については、ポストピアジェの研究は、ピアジェの述べた乳児の認知発達とは見解が異なること、それを実証した研究とは?といった視点から説明していくと良いでしょう。
ポストピアジェの研究者が用いた主な研究手法とその結果など、詳細に説明しましょう。
について出題。
1は、問題文で述べられている「動いているものを動いていると感じること」「動いていないのに動いていると感じること」といった現象を心理学では何と呼んでいるのかをまずは考えてみましょう。 また、これらに関する知見を説明しても良いでしょう。その上で、私たちを取り巻く環境と私たちの関係性を論じていきます。
3や4は、“具体的に”と問題文に書かれているように、取り上げた現象について、詳細に説明することが前提です。
3では、たとえば質問紙で起こり得ると考えられる歪みにはどのようなものがありその原因は何か、を考え説明するといった方法で述べることができるでしょう。
4では、行動をひとつだけ述べるのではなく複数の行動や条件づけのパターンを述べたり、自分が挙げた条件づけを実証している研究について説明すると良いでしょう。
について出題。
1では、心理的機能を最低ひとつは挙げ(たとえば、記憶、言語、パーソナリティ、感情など)、自分が挙げた心理的機能の発達について説明すると良いでしょう。
たとえば、認知発達を取り上げるなら、ピアジェの認知発達段階を例に挙げながら説明できます。
3は、本来正規分布しているはずのデータが正規分布していないのはどんな状態を指すのか、が分かることが前提です。
について出題。
1、2、3ともに、それぞれに関連のある用語を用いながら説明すると良いでしょう。
4は、分散分析の計算手法を知っていないと解答できません。そして、計算結果(分散分析表)から例に挙げられている結果について論文形式で解答します。
たとえば、群の主効果が有意であった場合、検定結果を踏まえながら「群に有意な主効果が認められた(F(3,
21) = 19.66,
p<.05)」と説明しなければいません。さらに、多重比較の結果も説明する必要があります。
について出題。
1については、自己意識感情とはどのようなものかを知っていることが前提です。 その上で、それらの感情が乳幼児期にどのように発達するのか、また、それらの感情発達と関連のある心理的機能について説明する必要があります。
2は、ダーウィンといえば進化論ということが分かるかどうかが鍵です。感情の進化論的な立場を説明していくと良いでしょう。
3については、それぞれの立場を代表する研究者と彼らが提唱した概念を挙げて、相互比較していくと良いでしょう。
について出題。
1と3は、それぞれの用語の説明や具体的な研究例を挙げながら論じると良いでしょう。
2に関しては、完全無作為法(被験者間要因)と乱塊法(被験者内要因)の計画を考えることができるかどうかが基本となります。 分析結果がどのように異なるのかは、それぞれの計算手法を知っているかどうかによります。
4は、解答が比較的自由ですが、必ず客観的な視点(心理的現象の説明、その研究例)も述べることが大切です。
について出題。
1は、ストレスコーピングのスタイルについて挙げること、そして、個人的要因である心理的特性(たとえば、抑うつ傾向、不安傾向、社会性など)や社会的環境的な要因(友人の数や関係性など)の視点とコーピングについて説明すると良いでしょう。
2は、子どもの気質とは何かを考えることが解答のヒントにつながります。
3に関しては、分散分析の仕組みを理解していないと解答できませんが、知っていれば比較的解答しやすい問題です。
について出題。
1、2、3とも、それぞれに関連のある用語や研究を挙げながら説明しましょう。
1に関しては、解答が比較的自由であり、自分が心理学に大切だと思う概念や仮説についてあげれば良いです、主観で述べず必ず科学的・客観的視点から述べることが大切です。
について出題。
1は、本や辞書に書かれているような説明を述べるだけでなく、実際の検定方法を例に挙げながら説明すると良いでしょう。
2~6も同様に、それぞれに関連のある用語の説明や具体例、研究例を交えながら論じましょう。
2は、定性的アプローチが類型論、定量的アプローチが特性論であると分かるかどうかが鍵です。
について出題。
1、2、3、4のいずれも、それぞれに関連のある用語や具体例、研究例を交えながら説明します。
1は、教育心理学的な視点から述べると説明しやすいでしょう。
4は、自己感情とはどんな感情かを考えることが前提です。
内容は、専門と同様の分野からの出題がほとんどです。
全訳解答の形式が大半で、例年2~3題出題されます。
ただし、1題の英文の長さが長いため、時間内にすべての問題を訳すことができるかがまずは重要となってきます。
辞書は持ち込み不可で、用語の注釈もほとんどありません。
普段から英語で書かれた研究論文や本を読んでおき、できるだけ英文を読む時間を短縮できるようにしましょう。 また、テクニカルタームは文章を読んだり解説する際のキーワードとなるため、しっかりと覚えましょう。
1、2は全訳ですが、特に1は情動研究の主要な研究者について書かれているため、比較的読みやすいと思います。
また、3は、本文に述べられている研究の手続きと結果について、図表を用いながら解説することが求められています。文章を読みながら手続きと結果を読みとってまとめるとよいので、普段から論文を読みなれているものにとっては比較的容易だと思われます。
1は、注釈として脳部位の単語の意味は掲載されていますが、いずれも見慣れない言葉しかないため読みにくい受験生も多いでしょう。
2に関しては、図表も併記されているのでそれを参考にしながら読むと良いでしょう。
文章自体も長くないので、読みやすいと思います。
3は、情動と生理反応について知っていないと、内容把握に時間がかかるでしょう。
1は、全訳形式です。
内容では著名な心理学者について書かれているため、全訳といえども解答しやすいと思います。
2は、下線部訳や内容の解説などの設問が4つあり文章も長いため、この文章の主題であるautobiographical
memoryが分からないと致命的です。
3も文章が長く、設問は3つありました。
実験デザインや結果の解説は本文に書かれているので、うまくまとめましょう。
また、結果の解説は併記されている図も参考にします。
いずれも文章は長いですが、丁寧に読み進めることが大切です。テクニカルタームも多いので、誤訳のないように注意しましょう。
いずれの文章も長いので、時間内にしっかりと読めるかどうかが鍵となります。
いずれの文章も長文であるので、時間内に読むことが前提です。
また、2では子どもの気質研究で有名な研究者について書かれているため、彼らを知っていたほうが有利でしょう。