傾向と対策

■神戸大学 経済学部 3年次編入試験

■ 試験科目と配点

神戸大学経済学部では英語の他、専門科目として経済学、数学、小論文のうち2科目を選択して解答する必要がある。英語が150点満点で、専門科目は1科目のうち100点満点である。

今回は英語と小論文の傾向と対策、次回に経済学と数学の傾向と対策とする。

■ 英語

■ 出題形式

ここ数年で見ると大問が2問から3問で構成されている。いずれも長文が1つ与えられ、その内容理解を問う説明問題と下線部和訳という非常にオーソドックスなものである。なお大問が3問の場合は1ずつの長文は比較的短めである。

■ 文章のジャンル

ここ3年で出題されたテーマは、「石油価格下落の影響」、「大都市の経済における位置づけ」、「環境規制の効果」、「日本の労働市場の変化」、「貧困援助の難しさ」、「個人の選択の自由とデモクラシー」、「東日本大震災が日本・アジア経済に与える影響」、「格差の測定」である。いずれも明らかに経済的にビッグイシューと言えるものである。言い換えると、やや壮大でお堅いテーマであろう。経済学を普段勉強する学生であれば一度は見たことのあるテーマであろう。

■ 難易度・対策

難解な構文や論理を読み解くといったことは必要なく非常に素直な問題ばかりである。また内容の抽象度も特に高くもなく分量も特に多いわけではない。基本的な英語力があり、上記のジャンルに普段から接していれば対応可能である。よって合格には、高得点が必要になる。

■ 小論文

■ 出題形式

大問1問で、3問程度の小問からなる。下線部についての内容理解と背景知識を問う説明問題と自分の考えを述べる問題の2種類が主に出題される。

■ 出題テーマ

近年出題されたテーマは「少子高齢化」、「学術研究におけるインセンティブ・メカニズム」、「制度と経済発展」、「医療サービスの費用負担のあり方」である。これらはニュースなどで話題になっているテーマか、経済学を学ぶ上でよく議論されるメジャーなテーマである。

■ 難易度・対策

各テーマとなる社会問題を簡単に説明することができるだけの知識と理解が必要である。経済学的に重要である社会問題にアンテナを張っていればこれらの問題はさほど難しくないであろう。しかしこれらの問題は、出題される小問でも比較的簡単な問題である。むしろ差がつくと思われるのは、それらの社会問題を経済学的な観点から議論できるかがポイントとなる。これは日々の経済学の勉強と共にしっかりと準備しなければ対応が難しいであろう。

理想を言えば、労働経済学、環境経済学、医療経済学…といった応用科目を幅広く勉強することが求められるがそれは多くの受験生には難しいであろう。そこで、これらの細かい論点はともかくその要点・エッセンスは貪欲に吸収する必要があるであろう。また、世界標準のミクロ経済学・マクロ経済学のテキスト(例えば、マンキュー、スティグリッツ、クルーグマンなどが書いたもの)には様々な事例・トピックが説明されている。それらを意識的に収集して読むだけでも多くのものが得られるであろう。

■ 経済学

■ 出題形式

大問3問または4問で構成されている。そのうち1問はミクロ経済学・マクロ経済学全般に登場する語句の説明問題であり、2問から4問の小問で構成されている。また残りの大問はミクロ経済学とマクロ経済学の計算を伴う問題であり、2問から3問の小問で構成されている。

■ 出題テーマ

語句説明の問題は、ミクロ経済学・マクロ経済学全般より様々なものが出題されている。例えば、「機会費用」、「公共財」、「GDPデフレーター」などのように非常に基本的なものから、「補償変分」、「ラスパイレス価格指数」などのようにやや細かい項目、さらに「ホモ・エコノミックス(経済人)」のように根本的な概念など様々である。ただし、いずれも世界標準のミクロ経済学・マクロ経済学のテキスト(例えば、マンキュー、スティグリッツ、クルーグマンなどが書いたもの)を1冊読めば出てくるものである。

ミクロ経済学の大問は、消費者理論、生産者理論、完全競争市場の均衡、国際貿易の基礎、独占市場の均衡、寡占市場の均衡、ゲーム理論の中から基本的な問題が出題されている。

マクロ経済学の大問は、貨幣市場の分析、IS-LMモデル、マンデルフレミングモデル、経済成長率の分解、ソローモデルと狭い範囲の出題が目立つ。

■ 難易度・対策

語句説明はほぼその語句の定義だけを答えるものでありそれ自体は難しくない。ただし、出題されうる語句の候補は広いので普段から語句の定義を書く練習をしていなければ対応が難しいであろう。

ミクロ経済学とマクロ経済学の大問は共に与えられたモデルを「解けるか?」という点に主眼があり、ある意味機械的に学習できるであろう。これらのモデルを解かせる典型問題を練習していれば対応できるであろう。

■ 数学

■ 出題形式

大問4題で、およそ微分の問題、積分の問題、線型代数、最適化数学の4問で構成される近年はいずれも計算問題(求値問題)が多いが証明問題が出題されることもある。

■ 出題テーマ

微分の問題:1変数の微分計算、テーラー展開、微分可能性、偏微分の計算

積分の問題:部分積分・置換積分を用いた1変数積分の計算

線型代数の問題:行列式の値、逆行列を求める、一次独立であることの証明、対角化

最適化数学:極値を求める、陰関数定理を用いて微分係数を求める

■ 難易度・対策

計算問題も証明問題も基本的な問題ばかりである。サイエンス社に見られる問題演習のテキストでも易しめのものができれば対応可能である。ただし、証明問題は自力で論述できるまで相応の練習が必要なので注意したい。

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