小論文は、「~について論述せよ」、「~についてあなたの考えを述べよ」といった形式で論述を求められることが多く、その意味で自由度は高いと言えます。
しかし、満足な論述をするためには、一般的な編入試験より高いレベルの知識が要求されると思われます。以下は過去問の内容の要約です。
以上のように、法学・政治学の両分野からバランス良く出題されています。
また、かなり自由に論述できるとはいえ、扱われている題材についての基本的な知識がなければ、満足な論述はできません。
特に、16年度1題目(特に外国人の刑事の採用について)、2題目などは、憲法についての基礎知識がなければ、出題者の期待する論述をすることは難しいでしょう。
対策としては、法学の基礎知識(特に憲法、民法について)、政治学の知識(分野を絞るのは難しいのですが、例えば最近の傾向としてはグローバリゼーション、アメリカの単独行動主義など)について勉強しておくこと、また、論述するに際しての「論理的な文章の書き方」について訓練しておくことが挙げられます。
全般的に難易度が高く、大学院入試の英語とほとんど変わりません。
特に、外国の裁判所の判例をそのまま出題している年もあり(15年度2題目)、これは3年次編入の試験では珍しいのではないでしょうか。
その他の問題も、法学・政治学の著作や論文からの抜粋ばかりで、専門的な語彙についての十分な対策が要求されます。
辞書の持ち込みも不可とされていますので、他大学の編入試験と比較して、非常に難易度は高いです。
例えば、法的思考について述べた次の文章の冒頭について(17年度1問目)。
"There is a familiar image of justice. She is a single figure. She is a goddess, emphatically not a human being. She is blindfolded. She holds a scale."
直訳調で訳すなら、『正義についての広く知られた1つのイメージがある。彼女は単独の外観をもつ。彼女は女神であり、断固として人間ではない。彼女は目隠しをされている。彼女は秤を持っている。』
法学部生であれば、「正義の女神像(まさに目隠しをして、秤を持った女神として描かれる)」のことを大体の人は知っているでしょうが、知らない人が読めば、冒頭からあまりピンと来ない文章が並んでおり(いきなり"She"と言われても分からない)、困惑することになるかもしれません。
出題形式は、全文訳、下線部訳、要約、下線を引いた重要単語の意味の説明、と多岐にわたっており、前述のとおり「実力が問われる」(小手先の対策がきかない)試験と言えます。
対策としては、前述のとおり専門的な語彙の補強をすることや、過去問や類似の文章による訓練を何回も重ねることなどが挙げられます(逆に言えば、それ以外にはないとも言えます)。
3年次編入試験なので、当然ながら、法学部1年~2年で修得するのと同程度の能力が要求されるわけですが、大阪大学の試験では、小論文・英語の両方で高いレベルが要求され、また、総じて小手先の対策では通用しない「実力が問われる」出題となっています。