新潟大学農学部は,旧学科制時代(応用生物化学科、農業生産科学科、生産環境科学科)に基づく3領域に大別される5つのプログラム(学科改組により,応用生命科学プログラム,食品科学プログラム,生物資源科学プログラム,流域環境プログラム,フィールド科学人材育成プログラムが制定)から構成されており,各プログラム別に異なるカリキュラムで専門性の高い教育を行うことを特徴としています.そのため,編入学試験の対策では,それぞれのプログラムで学ぶ学問内容の特徴を把握し,これに特化した学習を行うことが肝心となります.以下,プログラム別の編入学試験における出題事例を基に,出題傾向を解説していきます.
応用生命科学プログラム,食品科学プログラム(旧応用生物化学科領域)
応用生命科学プログラムは,生物化学,有機化学,微生物学,分子生物学など,「バイオテクノロジー」と総称される学問分野を対象としています.そのため,編入学試験では主に化学と生物の2分野が問われることになります.出題難易度は平易であり,そのほとんどは高校化学,生物で既習の範囲から構成されています.また,出題形式についても,大半が正誤選択問題,語句穴埋め問題,計算問題であり,高得点の獲得が期待されます.しかしながら,近年は当該プログラムにおけるペーパーテスト形式での試験が廃止され,口述試験形式へと移行されました.そのため,受験にあたっては面接時にこれらの知識を口頭で論理的に説明する「論述力」を磨く必要があります.
また,食品科学プログラムに関しては,ここ数年は募集が行われていない状況にあります.これには,入学後に希望するプログラムへと配属を行う制度を取り入れている新潟大学農学部において,例年食品科学プログラムの人気が非常に高く,内部生で既に規定人数に達してしまうという事情が絡んでいます.しかし,応用生命科学プログラムと食品科学プログラムは姉妹関係にあり,カリキュラム上も重なる学問領域が非常に多くなっている為,当該プログラムを志望する方は応用生命科学プログラムへの入学を視野に入れても良いかもしれません.
生物資源科学プログラム(旧農業生産化学科領域)
当プログラムは,いわゆる農業に該当する植物分野,畜産・酪農に該当する動物分野,そして農業の 6 次産業化などで注目を浴びる農業経済学分野の 3 分野を抱える幅広い学問領域です.専門性の向上はもちろんのこと,非常に多岐にわたる農業知識の習得を目指すことがカリキュラム構成上の大きな特徴となっています.
編入試験では,農業と関係が深い大きな事象テーマに対し,1 時間で自らの意見を述べる小論文形式での出題が行われています.具体例としては,「食糧・農業・農村と SDGs(持続可能性)の関わりについてあなたの考えを 1200 文字以内で述べよ(出題文を一部改訂)」という問題が出題されたことがあります.そのため,受験にあたっては,世間の動きを敏感に捉える「情報収集能力」と,これに対してエビデンスに基づく自信の意見を展開する「論理的思考力」を鍛える必要があると言えます.
流域環境プログラム,フィールド科学人材育成プログラム(旧生産環境科学科領域)
流域環境プログラム及びフィールド科学人材育成プログラムでは,私たちが農業を行う上で欠かせない「自然環境」を対象とした学問が取り扱われています.具体的には,新潟県佐渡島における生態系の調査から,ダムや堤防の非破壊検査に至るまでと,理学部や工学部の学問領域と重なる分野を取り扱うなど,非常に裾野が広い領域であると言えます.
そんな本プログラムの編入試験では「環境」にまつわる様々な事象をテーマとした,1 時間での小論文作成が課せられています.例えば,「低炭素社会の実現に向けた取組みを 1 つ挙げ,編入学を希望するプログラムで学びたいこと,あるいは学ぶであろうことと関連づけて,あなたの考えを論述せよ.ただし,全体を 700〜800 字でまとめよ(出題文を一部改訂)」という問題が過去には出題されました.この問題を解く際には,編入先のカリキュラムをある程度把握していることはもちろんのこと,日頃から二酸化炭素排出関連のニュースに触れておくことが求められます.従って,生物資源科学プログラムと同様に「情報収集能力」と「論理的思考力」が肝心です.
編入試験における出題内容や難易度は、志望大学公式のシラバスなどから講義や使用教科書の情報を得ることで、ある程度予測することが可能です。全国各地の大学の過去問データベースを保有する当ゼミナールでは、生徒との相談の下、新潟大学農学部の対策に効果的な問題演習を講師より提供させて頂きます。また,必要に応じて面接の指導も行うため,1 人では能力の向上を確認することが難しい「口述試験を見据えた対策」を行うことが可能です.