学習院大学 文学部 史学科 西洋史
西洋史専攻の問題は、毎年論述と語句説明の2題出題されている。
論述は史学科共通の問題であり、特定のテーマについて自分の関心を持っている地域や時代について具体的に述べよ、という問題である。例えば、平成28年度は「自分が関心を持っている時代や地域における戦争と社会について、具体的な事例を挙げて述べなさい」、平成26年度は「自分が関心を持っている時代や地域において、身分あるいは階級が持つ歴史的意義について、具体的に述べなさい」といった具合である。対策としては、編入後専攻するつもりの時代や地域について、基本的な事柄だけでなく、政治、経済、文化など分野別に重要な事柄を押さえておき、それぞれの事柄の内容だけでなく、他の事柄とどのように関連しているか、背景・原因や、意義・影響なども含めて把握するように努めていきたい。どのようなテーマが出ても具体例を挙げながら論じることができるように、可能な限り多くのテーマについて準備しておきたい。簡単な概説書だけでは不十分なので、出来れば山川出版社の『世界歴史大系』のシリーズなどを手始めに、参考文献に挙げられている本などへと手を広げていくようにするのが望ましい。
語句説明は毎年3題出題されており、年により多少違いはあるが、おおむね古代、中世、近現代からそれぞれ1題ずつ出されている。ペリクレスやコロンブス、エリザベス1世のような有名な人物であったり、直接民主政(古代ギリシア)や国民国家、ギルド、ラティフンディウムなど制度であったり、二月革命やオイル・ショックのような特定の事件であったり、内容は様々である。範囲も広く、古代ではポリスやデロス同盟などのギリシアとグラックス兄弟、リキニウス・セクスティウス法のようなローマだけでなく、ヘレニズムやカタコンベといったものも出題されており、近現代では上記のオイル・ショックのようにかなり新しい時代まで含まれている。分野もチャーティスト運動のような政治から、修道院、ヴェルサイユ宮、ルソーなど文化や思想、宗教に関するものまで多様である。従って、特定の時代や分野だけでなく、全般的に幅広い時代、分野の内容を押さえておく必要がある。また、解答欄は3題合わせてA4で1枚程度なので、1題につき200字程度となるだろう。
対策としては、範囲は広いものの、出題されている項目自体は、高校の世界史でも習うような重要な事柄ばかりで、字数もそれほど多いわけではないので、高校の世界史を復習しつつ、大学の西洋史の概説の授業で用いられる教科書のようなもの、例えば、『西洋の歴史 古代・中世編』『西洋の歴史 近現代編』(ミネルヴァ書房)などで重要な人名や項目をピックアップして、足りない場合には必要に応じて『西洋史辞典』などを参照しながら覚えておけばよいだろう。
疋田先生