お茶の水女子大学には明確な特徴があります。一つは、大問2題のうち1題が英語の文章による出題であること、もう一つは、統計学の分野に特化しているということです。この分野に限って言えば、編入試験の問題としては最高レベルの水準が求められています。したがって、この分野について学習することがお茶の水女子大学の対策になります。
具体的には、平均、標準偏差等の計算、尺度水準、相関係数、推測統計の原理、サンプリング、t検定やカイ二乗検定、分散分析あたりまでを学習しておくとよいでしょう。おすすめできるテキストとしてはミネルヴァ書房の「よくわかる心理統計」をあげておきます。また、統計学は数学の一分野であるので、高校数学の確率やシグマについて理解しておくと効率よく学習できると思います。学習の際には面倒でも必ず1度は自分の手で計算した方がいいと思います。というのは、テキストに書かれている結果を見て分かった気になる(が実際にはあまり理解していない)ということがしばしばあるからです。
近年はあまり出題されていませんが、過去には分散分析表を示して結果の分析を求める問題も出題されています。この問題が解けることを学習の目安とするといいでしょう。
英語の文章は、心理学の調査に関する文章が多く、データや表が示された上でその分析や解釈を求められる、という出題形式となっています。したがって、一般的な単語や文法よりも心理学の専門用語や統計学の知識に基づいたデータの解釈などを意識しながら学習するとよいでしょう。分厚いですが、ヒルガードの心理学は過去に課題文の出典として使われたこともあるので、余裕があれば読んでみるといいでしょう。ちなみに、ヒルガードの心理学は研究で必要な語学力を測る一つの指標と言われています。つまり、この本が読めれば語学力はある程度の水準に達しているとみてよく、難しいと感じるならば高校の文法や構文について復習する方がいいということです。
お茶の水女子大学を受験するためには、とにかく統計の分野を学習することが必須です。「思っていた心理学のイメージと違う」という理由で心理学に関心がある人を挫折させるきっかけになることもしばしばあります。また、「数学が苦手で文系に行った」という人にとっては苦行でしょう。しかし、そうした実際の心理学研究では多くの分野で統計学に基づいたデータ分析が行われています。苦しいかもしれませんが、上記の学習で学部生としては十分な知識が身につきますし、日常生活でも統計学の考え方が役に立つことがあります。ぜひ頑張ってください。
増井先生