まず、書き始める前に「構成」を考えましょう。その利点としては1.論理の飛躍を防ぎ、一貫した主張で意見を述べられる、2.構成の各パーツの分量を前もって把握しやすいと。といったものがあります。
【構成】
0.問題文解釈
1.主張
2.展開
3.結論(=主張)
0.問題文解釈について
問題文で提示されたことに対して正確に対応できているかを自己チェックする場でもあります。問題文の言い換え、キーワードチェックと考えてもらっても結構です。
例1)動物のクローン技術の応用についてのあなたの考えを述べなさい。
動物のクローン技術とは何か(定義:ドナーとしての動物と同一の遺伝子を有する個体を生み出す技術)、その応用とはどういったものがあるのか(特に優秀な家畜製品を生産することの期待できる個体のクローンを生産し家畜産業を効率化→食糧問題、エネルギー問題への貢献など)を記述し、それに対して自身の意見を述べる(1.主張)へ移ります。
例2)次のエッセイを熟読した上で、あなたの考えを述べなさい。
著者は本文中で~と主張している(要旨)、それに対して自身の意見を述べる(1.主張)へ
*文章を読んだうえでのエッセイ課題は本文の主張を簡単にまとめることになります。
1.主張(意見、命題)について
小論文課題に欠かせない要素でこの主張を軸に文章を書いていくことになります。また、多くの場合、主張とその反対意見のどちらも一理あるような内容(ディベート課題のような)になることが多いので、自身が文章として書きやすい方を選んで書くのが良いです。
例1)我々は技術発展を続けていくべきか、地球環境保護に目を向けていくべきか(2者択一)
例2)農林業被害を起こす野生動物の駆除に対して賛成か、反対か(Yes/No選択)
2.展開について
2-1.自身の主張を補足、補強させるような意見を提示します。一番分量を割く構成要素になると思います。
例1)反対意見を抑える(確かに~という意見もある、しかし~という理由から<自身の主張>に理がある)
例2)<主張>にたいする根拠や背景、対策(なぜなら~/そもそも~とは…/~の背景には…がある)
例3)具体例、経験による補足
展開部分において、自身の主張を補足するような項目がいくつも出てこないような場合、視点を変えてみてください。例えば、自分の主張が正しいという視点に立っているとすると、反対の立場の人はどういった反論をするだろうか、それに対してうまく対応するとしたらどんな理由・根拠を挙げると良いだろう、と言う風に。基本的に立場は1.自分の主張側、2.反論側、3.中立(俯瞰)側と言ったものが挙げられるかと思います。
2-2.論理を深める
それぞれの根拠、理由に対しては「なぜ?だから、何?」といった疑問を繰り返してそれに対しての回答を考えていくことで深みのある文章になります。
<Aとすると、その結果Bになる。そのためCという状況からDの対策が必要となるetc.>
例)動物のクローン技術を推進すべき
最先端の体細胞クローン技術の更なる研究推進が必要(なぜ?)
そもそも、まだ未完成の技術で成功率が低いなど非効率的(だから、何?)
1→技術改良が進み、成功率up→産業の効率化、発展→食糧需給増加、食の安全へ貢献
2→研究を深めることで、科学的知見増える→遺伝子操作された食糧の安全性についてより詳しく議論可能→一般の方の不安を取り除ける可能性
など
3.結論について
簡単に言うと1.主張の繰り返しです。0.~2.を受けて内容を簡単にまとめつつ、自身の主張を改めて明記してください。もし、結論部分1.の主張と食い違っていた場合、文章が進むにつれて論理がずれてきてしまっている可能性があります。
井上先生