大阪大学経済学部編入学 傾向と対策

投稿者: | 2015 年 10 月 27 日

【ミクロ経済学】
●傾向
主な出題範囲は、家計の理論、企業の理論、完全競争市場の市場均衡(一般均衡も含む)、独占市場の理論である。このように出題範囲は標準的に見えるが、やや細かい概念・論点も問われることもある。出題形式は、語句の定義を問う問題、数式で説明するものが大半である。大半の問題は一度解いたことがあれば解けるであろう標準的な問題である。

●対策
基本的な理解を問う問題が大半なので着実に勉強すれば十分に対応できる。上記の範囲を中心にヤマを張らずに基本事項の記述対策をしておこう。

【マクロ経済学】
●傾向
主な出題範囲は、二期間の最適消費問題、経済成長論、IS-LMモデル、マンデルフレミングモデル、資産市場の理論(資産価格の決定理論など)などである。このように出題範囲は非常に広い。出題形式は、語句の定義を問う問題、数式で説明するものが大半である。大半の問題は基本的な問題である。

●対策
範囲が非常に広いので、いろんな範囲の基本問題、定型的な問題にふれておくようにしておこう。特に、二期間の最適消費問題、経済成長論、資産市場の理論などはあまり他の大学では問われないことが多い。長期の理論や、資産市場についてもしっかりと学習しておこう。

【統計学】
●傾向
これまで概ね3つの小問で構成されてきた。そのうち二つが確率論で、一つは統計学である。統計学は非常に基本的な問題ばかりである。一方、確率論は確率密度関数を求める問題と期待値・分散を求める問題が多い。

●対策
統計学は問題のバリエーションがあまりないので基本概念を言葉で説明できるようになったら、あとは基本問題を一通りするだけでもかなりの対策になるであろう。
一方で、確率論の対策は大変かもしれない。統計学よりも問題のバリエーションが多く、
計算問題の計算がやや技巧的であったり、定義をしっかり理解しておかないと解けない問題がある。より具体的には、期待値の計算ではシグマ計算・積分計算に十分慣れておく必要があり、確率密度関数を求める問題では定義に戻って一歩一歩演算を進められる必要がある。

【経済史】
●傾向
概ね5つの小問で構成される。日本経済史と世界経済史の双方がバランスよく問われている。共に、19世紀から1970年程度までの範囲を中心に問われている。出題形式として、ある用語だけ与えられてそれを説明するものと、ある事象の理由・要因、帰結・影響、役割や、ある概念の包括的説明を問うものがある。いずれも数行程度で説明することが求められている。解答で用いるべきキーワードは列挙されることはあまりないことに注意。
●対策
上記のようにほとんど情報量が与えられない形式で、簡潔にまとめる必要がある。そのような解答が作成できるように、様々な事象について理由・要因、帰結・影響、役割などに注目しながら基本書を読み込み、論述する訓練が十分に必要となる。

【英語】
●傾向
出題される英文の出典の多くは有名な経済学者による経済学、経済現象についてものである。より具体的には、教科書、専門書、学術論文からの抜粋である。そのため、一般の経済新聞よりも堅い内容が多い。
問題の形式は、基本的に下線部和訳、主題となる単語の説明、内容説明といったものが多い。もちろん基本的な文法事項が問われている面はあるものの、内容を理解しているかを問う面が非常に強い。

●対策
経済学者が書いた学部生でも読める教科書や専門書を日々読むことが大事である。そこで繰り返しで出てくる単語や言い回しには十分に慣れておこう。そしてより重要なのはミクロ経済学、マクロ経済学その他経済学の基本科目で登場した概念についての背景知識である。これらの知識があまりにも不足していれば、もはや日本語訳を読んでも何を言っているか分からないという状況に陥るであろう。逆にこれらの背景知識があれば先を推測しながら速く読めるし、もちろん内容もより正確に読めることにつながるであろう。以上より、経済学者が大事であると思っている概念や歴史的事実や論争について英文でふれるようにしていくことが重要となる。

新宅先生