学問的文脈にのせるということ

投稿者: | 2014 年 11 月 20 日

 学部編入試験では小論文や自由記述型の問題が、それに加えて大学院入試では卒業論文や修士論文などが多く求められます。そこにおいて大切なのは、タイトルにも書いたように、解答や論文を「学問的文脈にのせる」ということです。どういうことでしょうか。例を挙げてみてみましょう。
 編入試験でない場合の文章を考えてみましょう。高校入試や(編入ではない)大学入試でも、小論文が課せられることがあります。そこで求められているのはほとんど「論理性」であるといっていいでしょう(一般的知識等が多少求められることもあるかもしれませんが)。例えば、ある統計情報を見て何か述べなさいという問題が出題されたとき、「数値が徐々に上がっており、これは××を示す。××ならば○○であるから、○○(結論)である」ということを書けば必要十分なのでした。
 しかし、編入試験や大学院入試では、これ(論理性)だけでは不十分です。なぜなら、学問の俎上においては、論理性に加えて、「新規性(≒オリジナリティ)」が求められているからです。新規性とは、単純に言って、「この研究(文章)は今までのものとココが違うんだよー」という場合の「ココ」の部分です。例えば、「1+1=2でした」といっても、何の新規性もありません。もっと言えば、「1+1=3でした」といっても新規性はないといっていいかもしれません。なぜなら、新規性は読者(採点者)が見出すのではなく、自分で示す必要があるからです。「○○の理論で言えば1+1=2であるが、計算しなおしてみたら1+1=3であった」といえば新規性が示されたことになります。
 つまり、新規性を示すには「○○の理論」を知らなければならないことになります。ここが編入試験および大学院入試の、一般的な小論文と決定的に異なる点です。ここを見逃してしまうと、高校入試では100点でも、編入試験では0点の解答になってしまうかもしれません。
 新規性を示すバックボーンとなる学問的知識は、一朝一夕には獲得できません。私自身も完璧ではないですし、だれも完璧な人はいないでしょう。もちろん基礎的な知識はお教えますが、編入試験では、それをもとに主体的に考えることも重要です。一緒に学んでいきましょう。

中谷先生