名古屋工業大学 3年次編入学

投稿者: | 2014 年 11 月 14 日

傾向と対策―物理学―

平成16年度~24年度の過去問をもとに傾向と対策を検討してみましょう。

●傾向
・出題形式
平成16年度は長文で構成される問題文中に空欄を設け、当てはまる答えを埋める形式でしたが、それ以降の年度では小問に区切られた形式となっています。
・出題範囲
出題科目は力学と電磁気学であり、問題のテーマを大まかに分類すると以下のようになります(カッコ内の数字は年度)。

力学:
斜面に沿った運動(16,18,19)
空気抵抗を受ける落下(16,23)
円軌道面に沿った運動(20,21)
円運動(16,19)
単振り子(24)
単振動(17)
剛体の回転(17,18,20,21,23)
相対運動(22)

電磁気学:
点電荷の作る電場、電位(21)
鏡像法(19)
コンデンサー(16,18,20,23)
電磁誘導(17,24)
直流回路(18)
ローレンツ力(19,24)
電流が磁場から受ける力(22)

これを見ると、力学では重力を受ける運動、円運動、振動、剛体の運動、相対運動と、ほぼ万遍なく全範囲から出題されています。内容を見ると、運動方程式をもとに速度や変位を求める、エネルギーの変化を調べる、振動の周期や振幅を求める、回転運動における力のモーメントや慣性モーメントを調べる、重心や換算質量を用いて相対運動を解析する、といった問題が出題されています。一方で、衝突など運動量を扱うテーマの出題は見られません。今後も出題されないとヤマを張るのは禁物ですが、「物体にはたらく力を読み取る→運動方程式を立てる→微分方程式を解く」という基本的な流れをきちんとこなす力が特に重視されていると言えるかもしれません。

電磁気学については、コンデンサーについてと、電流と磁場の相互作用の問題が特に多いようです。ただし、鏡像法や電気双極子、電束密度など、軽視されることも多い項目に関わる出題も見られることを考えると、出題範囲の広さがうかがえます。交流回路などもこれまでの出題が少ないからといって油断できないでしょう。

・難易度
力学、電磁気学ともに、典型的なパターンで基本的なスキルを測る問題はもちろんですが、よくあるテーマでも少し違った切り口で展開される問題も見られます。物理法則や束縛条件を深く理解して処理できる力がないと、誘導にうまく乗れないという事態にもなりかねません。

●対策
基本的な問題だけでなく、ひねった問題に対応できるためには、個々の問題の解き方を覚えるだけでなく、「なぜここでこの公式を使うのか」「どういう現象について議論しているのか」ということを常に意識し、様々な問題同士のつながりを自分なりに整理しながら問題練習に取り組みましょう。
力学については、何といってもまず「図を書き、運動方程式を立て、微分方程式を解く」という一連の流れを徹底的に練習することが重要です。そのうえで、振動の微分方程式の解法、回転の運動方程式や慣性モーメントの導出、重心や換算質量の利用、よく使われる近似のやり方などについて特にしっかり練習しておきましょう。
電磁気学については、ガウスの法則を用いて電荷Qから電場E、電位Vを求め、コンデンサーの電気容量を求める(Q=CV)、という一連の流れの習得が最優先でしょう。磁場に関連しては、アンペールの法則への習熟を入り口に、電磁誘導、ローレンツ力など順次広げていきましょう。他方、電気回路(直流回路、交流回路)については、キルヒホフの電圧則・電流則と各素子の従う法則(抵抗V=RI、コイルV=L・dI/dt、コンデンサI=C・dV/dt)を用いて、連立方程式を立てる→解く、という手順をぶれることなく実行できるように練習しましょう。慣れてくるとワンパターンに思えてきますが、そこに到達するまでにはけっこう問題数をこなす必要がありそうです。

高先生