名古屋大学大学院教育発達科学研究科 精神発達臨床科学講座・心理臨床科学分野

投稿者: | 2014 年 12 月 17 日

大学院入試 傾向と対策 【専門科目】

Ⅰ~Ⅴまでの5問のうち、精神発達臨床科学講座・心理臨床科学分野はⅣとⅤが必須、かつⅠ・Ⅱ・Ⅲのうち2問を選択。よって、合計4つの大問を2時間で解く。

まず必須問題から見てみよう。
例年Ⅳは発達心理学、Ⅴは臨床心理学の領野から出題されている。いずれも論述形式である。
発達心理学は、平成27年度は「職業的発達」、平成26年度は「思春期の逸脱行動」、平成25年度は「遺伝vs環境論争とエピジェネティクス」。理論を説明させる問題、または理論を用いての論述である。基礎をおさえていることはもちろんだが、一般的な入試用参考書だけでは完璧に解答するのは難しい。教員の専門分野にも目配りしながら、専門知識を深めておきたい。
臨床心理学は、用語の解説問題の年(平成25年)もあるが、事例問題が頻繁に出題されている。事例を読ませ、見立てや支援について書かせるものであり、事例を読む力、実際の臨床場面を想定できる力が求められている。とりわけ、疾病分類や見立てについては意外に苦手な受験生も多いので、しっかり勉強しておきたい。

選択問題は、だいたい例年、社会心理学・認知心理学・統計の三分野からの選択となる(年によって、認知心理学がない年、教育心理学が入っている年もあり)。このうちの二問を選ばねばならないということは、なかなかに広い知識が求められているといえ、早くからの幅広い対策が必要であろう。
平成27年度は比較的基礎的な用語説明問題も出題されているが、多くは、やや発展的な論述問題である。たとえば、「適正処遇交互作用について研究例を示しつつ説明せよ」(27年度、認知)「集団の創造性についての実験計画」(26年度、社会)「なぜ人は他者と自分を比べるのか」(25年度、社会)など。基礎的な用語や理論に基づきつつ、それを深く理解している必要がある。
臨床以外の分野に馴染みのない人は、まず、選択したい分野についての基礎を固めておこう。基礎的かつ確かな参考書としては有斐閣New Liberal Arts Selectionの『認知心理学』『社会心理学』、ミネルヴァ書房の『よくわかる心理統計』などがある。

村田先生