奈良女子大学 理学部 化学科の編入試験の筆記試験(化学)と口述試験である。
よって化学の試験のできが合否を決める。
化学は大学専門の範囲がメインであり、高校で習うような大学受験の範囲は原則出題されないが、大学受験の化学がある程度できてないと解けない問題も出題される。これより、編入の対策としては、大学受験の化学をまずある程度復習してから大学専門の化学の範囲の勉強を行うと良い。
平成31年度の化学の筆記試験は以下の分野から出題された。
Ⅰ:放射性同位体と半減期、NMR、半減期の計算
Ⅱ:熱力学第一法則、マイヤーの関係式、ファン・デル・ワールス状態方程式
Ⅲ:有機化学、立体化学、共鳴構造式、ラジカル置換反応
奈良女子大学 理学部 化学科の化学の筆記試験は毎年大問Ⅱ、Ⅲはそれぞれ熱力学と有機化学である。
大問Ⅰについては年度によって出題分野が異なる。編入の対策としては大学専門の熱力学と有機化学の対策を必ず行わなければならない。難易度は中程度である。もし化学系の学科を在学または卒業しているのであれば、大学の講義などの復習も効果的である。また、お薦めしたいのは熱力学や有機化学の大学院入試の問題集を解いたりすることである。熱力学、有機化学を得点源にすることが合格に繋がる。平成31年度の試験の大問Ⅰは半減期関連の問題である。これは微分方程式を解かなければならないが、理系の大学では教養の化学でよく目にする内容である。
大問Ⅱは熱力学第一法則についての問題である。奈良女子大学の理学部化学科の編入の熱力学の問題は内部エネルギー関連が頻繁に出題される。またこれに関連して、マイヤーの関係式もよく出題される。熱力学特有の微分の表記の仕方に注意が必要である。平成31年度の試験はそれに加えてファン・デル・ワールス状態方程式の問題が出題された。理想気体と実在気体の違いをよく理解しておき、それがファン・デル・ワールス状態方程式のどの項に反映されているかを理解しておくことが重要である。典型的な問題である。
大問Ⅲは有機化学の問題で、よく立体化学の問題が出題される。RS表記を理解しておくこと。共鳴構造に関する問題もよく出題される。平成31年度は珍しく、アミド結合に関する問題が出題された。有機化学は大学専門の範囲をよく理解しておかないと得点できないであろう。
染田先生