神戸大学経済学部3年次編入学 傾向と対策①

投稿者: | 2016 年 1 月 21 日

●試験科目と配点
神戸大学経済学部では英語の他、専門科目として経済学、数学、小論文のうち2科目を選択して解答する必要がある。英語が150点満点で、専門科目は1科目のうち100点満点である。
今回は英語と小論文の傾向と対策、次回に経済学と数学の傾向と対策とする。

●英語
1. 出題形式
ここ数年で見ると大問が2問から3問で構成されている。いずれも長文が1つ与えられ、その内容理解を問う説明問題と下線部和訳という非常にオーソドックスなものである。なお大問が3問の場合は1ずつの長文は比較的短めである。
2. 文章のジャンル
ここ3年で出題されたテーマは、「石油価格下落の影響」、「大都市の経済における位置づけ」、「環境規制の効果」、「日本の労働市場の変化」、「貧困援助の難しさ」、「個人の選択の自由とデモクラシー」、「東日本大震災が日本・アジア経済に与える影響」、「格差の測定」である。いずれも明らかに経済的にビッグイシューと言えるものである。言い換えると、やや壮大でお堅いテーマであろう。経済学を普段勉強する学生であれば一度は見たことのあるテーマであろう。
3. 難易度・対策
難解な構文や論理を読み解くといったことは必要なく非常に素直な問題ばかりである。また内容の抽象度も特に高くもなく分量も特に多いわけではない。基本的な英語力があり、上記のジャンルに普段から接していれば対応可能である。よって合格には、高得点が必要になる。

●小論文
1. 出題形式
大問1問で、3問程度の小問からなる。下線部についての内容理解と背景知識を問う説明問題と自分の考えを述べる問題の2種類が主に出題される。
2. 出題テーマ
近年出題されたテーマは「少子高齢化」、「学術研究におけるインセンティブ・メカニズム」、「制度と経済発展」、「医療サービスの費用負担のあり方」である。これらはニュースなどで話題になっているテーマか、経済学を学ぶ上でよく議論されるメジャーなテーマである。
3. 難易度・対策
各テーマとなる社会問題を簡単に説明することができるだけの知識と理解が必要である。経済学的に重要である社会問題にアンテナを張っていればこれらの問題はさほど難しくないであろう。しかしこれらの問題は、出題される小問でも比較的簡単な問題である。むしろ差がつくと思われるのは、それらの社会問題を経済学的な観点から議論できるかがポイントとなる。これは日々の経済学の勉強と共にしっかりと準備しなければ対応が難しいであろう。
理想を言えば、労働経済学、環境経済学、医療経済学…といった応用科目を幅広く勉強することが求められるがそれは多くの受験生には難しいであろう。そこで、これらの細かい論点はともかくその要点・エッセンスは貪欲に吸収する必要があるであろう。また、世界標準のミクロ経済学・マクロ経済学のテキスト(例えば、マンキュー、スティグリッツ、クルーグマンなどが書いたもの)には様々な事例・トピックが説明されている。それらを意識的に収集して読むだけでも多くのものが得られるであろう。

新宅先生