問題は4題か3題であり、問題形式は論述、語句説明、漢文の日本語訳である。全体的に難易度は低めである。そのため、合格のためには高得点が必要とされる。
論述は年によって出題される時とそうでない時がある。過去に出題された問題では、近代の文学運動や、文芸思潮について問うものと、中国文学に関する本の内容紹介を求める問題が複数回出されているので、どちらが出題されても対応できるよう、文学革命など20世紀の文学運動を中心にその背景、経緯、影響、代表的な人物などについて説明できるようにしておくのと、最近読んだ本の内容を簡単に説明できるよう準備しておく必要がある。
語句説明は、著名な文学者や文学作品などの中国文学に関するものと、介詞や可能補語などの中国語の文法に関するものの両方が出題されている。文学作品では『詩経』『楚辞』といった古代のものから『三国志演義』などの四大奇書、『紅楼夢』『狂人日記』といった近代の作品まで時代を問わず満遍なく出題されている。ただ、過去に出題されている作品は、中国文学に興味がある人なら、誰でも名前を知っているような極めて知名度の高い作品ばかりなので、文学史を少し復習しておけば問題なく解答できるであろう。
文学者に関しては、古い時代の作家が出題されることもあるが、巴金、老舎など、20世紀の作家がしばしば出題されているので、20世紀の代表的な作家に関して説明できるよう勉強しておく必要がある。
文法項目も、過去に出題されているのは中国語を勉強したことがある人なら誰でも知っているような項目ばかりなので、文法書を復習しておけば、問題なく解答できるレベルである。
漢文の日本語訳は毎回2題出題されており、内訳は詩と散文が1題ずつとなっている。どちらも難易度は低めで、漢文の基本的な語法の理解とある程度の語彙があれば、ほぼ問題なく訳すことができるであろう。最近約10年間の傾向としては、詩は多くが唐詩、特に杜甫、李白、王維など盛唐の近体詩が出題される傾向がある。対策としては、例外はあるものの過去に出題されている詩はほとんどが『唐詩選』など著名な唐詩のアンソロジーに収録されているものばかりなので、そういった本の盛唐に関する詩を中心に読んでおくのが有益である。
散文は例外もあるが、多くは『史記』や諸子百家など、漢代までのいわゆる漢文から出題されている。対策としては、『史記』の列伝や世家、諸子百家、特に『孟子』『韓非子』『呂氏春秋』などの逸話や物語を収録しているものを中心に、文体や内容に慣れ親しんでおくのが良い。
疋田先生