効率のいい大学院入試対策とは?

投稿者: | 2014 年 11 月 12 日

【数学】 ―予習・復習に関連して―

大学院入試における数学の(特に公式や解放テクニックの)学習を指導していて思うことは、問題の傾向によって
1.公式や解法のテクニックを先に暗記した方が効率がいいもの
2.自分の頭で考えた後に公式などを覚えた方が効率がいいもの
があるということです。たとえば、固有値計算や極値の問題は入試頻出ですが、その計算には決まった手順や公式が存在しており、かつその公式を知らないとまず問題が解けないでしょう。このような問題は九々と同じで迅速さ・正確さが要求されるという背景もあり、類似の問題を(1問1問にあまり時間をかけずに)多く解くことが重要になります。一方で、論証問題でたびたび必要になる連鎖律や陰関数定理などの公式は丸暗記で覚えようとすると(その公式の複雑さから)効率がかなり悪く、具体的な問題に(仮に解けないとしても)時間をかけてとりくむことで暗記の効率が上がるという傾向があります。
 そこで関連してよく聞かれる質問なのですが、1つの問題にはどのぐらい時間をかけるのが(大学院入試に受かるという観点からすると)ベストなのでしょうか?結論としては、私は「解答時間に」5分以上、30分以内の時間をかけてくださいと答えることにしています。長期的な数学的能力の獲得という観点からすると30分という時間はかなり短い時間になりますが(そして上の発言に対して批判が飛んできそうですが)、30分という時間は実践的な時間的制約となります。つまり、実際の試験問題でも方針決定に5分、計算に5分、解答記述に10分、確認5分で25分という時間配分がおおよその基準になると思いますが、この時間配分を日ごろから強く意識することが大事になります。(時間配分は気をつかいすぎるということがないほど大学院入試対策において重要なものとなります。)
その後の学習時間の使い方はそのときの状況によりますが、おおよそ以下の2つ(の組み合わせ)に大別されるかと思います。
・5分ねばっても方針がまったく立たなかった場合:基本的な知識が欠けている可能性があります。解答からキーワードを1つピックアップして、必ず対応する単元の理解を進めてから解答を読みましょう。解答の字面だけを追うことは時間の無駄です。その過程で教科書や解答を読み進めることができないときにはじめて、担当の先生に質問することになります。とはいえ基本的には熟練した先生が問題を選ぶことになりますので、手も足もでないということはまずないでしょう。
・もう少しで計算結果が出そうなのだが上手くいかず30分以上が経過してしまった場合:類似の問題を探して納得のいく解答の速度になるまで解き続けましょう。ここでは、方針はわかっていたのだから大丈夫だろうと楽観的にならない方がいいでしょう。先の固有値計算のように、計算の迅速さ・正確さを見ることが目的であるような問題も多く存在します。また、計算テクニックの効率化や間違いの癖などは他人の方が気づきやすいことがよくありますので、定期的に先生に解答を見てもらうといいでしょう。
 
さて、ここまであえて前提のこととして話を進めてきましたが、みなさんはちゃんと予習・復習をして授業に臨んでいますでしょうか?これまでの話からもわかっていただけたと思いますが、予習・復習のあるなしによって授業効率、試験勉強の効率は全く違うものとなります。担当の先生はみなさんが合格に結びつくための最短ルートを考えて授業を行っていますが、それを真に意味のあるものにするのはみなさん自身なのです。
効率のいい大学院入試対策は何か?その答えは、十分に予習・復習を行った後に授業に臨むということです。

中野先生