京都大学大学院 文学研究科 思想文化学系 傾向と対策

投稿者: | 2014 年 9 月 26 日

【全体】
京都大学大学院文学研究科思想文化学系の試験は二回にわたって行われる。二次試験を受けることができるのは一次試験の合格者のみである。

一次試験:語学の試験と専門の知識を問う試験が行われる。語学の試験は系全体で共通の
試験である。研究室によっては専門の試験において研究分野に応じて必要な語
学の試験を課すところもある。
二次試験:全研究室に共通しているのは口頭試験により論文審査を行うことである。その
他、専門知識を問う試験や一次試験では選択しなかった語学の試験を、一次
試験とは別に課す研究室も存在する。

研究室によっては二、三の外国語が試験全体を通して出題されることもあり、非常にハイレヴェルな試験となっている。二次試験の内容は研究室ごとに異なるため、あらかじめ過去問を入手し、どのような知識や語学が必要なのかを早めにチェックしておく必要がある。事前に、希望する研究室の教授や先輩の院生とコンタクトを取り、試験に関する情報を集めておくことが望ましい。

【一次試験:語学】
一次試験では、英語、ドイツ語、フランス語のなかから選択して解答する。選択肢には日本語も存在するが、これを選択できるのは留学生のみである。研究室によっては、専門試験や二次試験において、一次試験では選択しなかった言語の試験を課すところもあるので、選択に際しては事前に慎重に情報を集めて判断する必要がある。

・英語
長文二題が出題され、ともに全訳が要求される。時間は九〇分だが、英文の分量が多いため、相当のスピードが要求される。文の構造やイディオムを瞬時に見抜き、日本語に早く正確に翻訳する技術が求められていると言えよう。文法を一通り習得した後、普段から大量の英文を読み慣れておき、少しレヴェルの高い単語集でもって語彙を増やしておくとよい。語彙の対策としてはさらに、内容が哲学や思想に関するものであることがほとんどなので、英語で哲学書や哲学論文を読み、英語の哲学用語に慣れておくと、なおよいであろう。英語の哲学書や論文はさまざまなものが入手可能なので、自分の問題関心やレヴェルにしたがって著作や論文を選んで読んでいくとよい。全訳も普段から訓練しておく必要がある。授業などを通して他人に添削してもらうと、なおよいであろう。

・ドイツ語
英語と同様に長文二題が出題され、ともに全訳が要求される。時間は九〇分であり、英語よりはいくらか分量は少ないものの、それでも文の分量が多いため、相当のスピードが要求される。英語と同じく、文の構造やイディオムを瞬時に見抜き、日本語に早く正確に翻訳する技術が求められていると言えよう。ドイツ語文法を一通り習得した後、普段から大量のドイツ語の文章を読み慣れておくとよい。語彙の対策としては、内容が哲学や思想に関するものであることがほとんどなので、ドイツ語で哲学書や哲学論文を読み、ドイツ語の哲学用語に慣れておくのが一番であろう。カントといったドイツの古典的な哲学者はドイツ語が難解なので、現代の著者の著作を読むことをお勧めする。全訳も普段から訓練しておく必要がある。学書や哲学論文をページごとに全訳し、授業などを通して他人に添削してもらうと、なおよいであろう。

・フランス語
英語やドイツ語と同様に長文二題が出題され、ともに全訳が要求される。時間は九〇分であり、英語よりはいくらか分量が少なくドイツ語と同じくらいではあるものの、それでも文の分量が多いため、相当のスピードが要求される。英語やドイツ語と同じく、文の構造やイディオムを瞬時に見抜き、日本語に早く正確に翻訳する技術が求められていると言えよう。フランス語文法を一通り習得した後、普段から大量のフランス語の文章を読み慣れておくとよい。語彙の対策としては、内容が哲学や思想に関するものであることがほとんどなので、フランス語で哲学書や哲学論文を読み、フランス語の哲学用語に慣れておくのが一番であろう。レヴィナスの論文などはお勧めである。全訳も普段から訓練しておく必要がある。学書や哲学論文をページごとに全訳し、授業などを通して他人に添削してもらうと、なおよいであろう。

・日本語
他の外国語と同じく長文二題が出題されるが、他の外国語とは異なり、漢字の読み方や言葉の意味、内容把握の問題が出題されている。内容把握の問題は論述形式である。全体としては、大学受験の現代文の問題に近い。内容も哲学や思想に限らず、さまざまなジャンルから出題されており、基本的な日本語の知識と読解力および論述の力とが問われていると言えよう。留学生の対策としては日本語文法を一通り習得した後、漢字や熟語を学習し、エッセイや論文を日本語で読み慣れておく必要がある。ある程度まで日本語が分かってきたら、大学受験の現代文の問題で練習するのもよいだろう。授業などを通して他人に添削してもらうと、なおよい。