Putの用法

投稿者: | 2014 年 9 月 20 日

皆さんはputというと、「置く」という訳語を思い浮かべるでしょう。putは基本的な動詞ですので、その意味を把握しておくのは非常に大事なことです。しかし、では、次の熟語はどうでしょうか。

・put off 延期する

offの基本的な意味は固着・付着の状態から離れたところに行くことですが、離れたところに「置く」ということが何故、「延期する」という意味になるのでしょうか。
実は、putは「置く」というよりも、「落ち着かせる・位置させる・仕向ける」という方が分かり易い動詞なのです。実際、英文中ではしばしば、次のような文に出くわします。

・The driver put the horse to his cart. 御者は馬を荷車につないだ。
・Put your mind to more important things. 心をもっと重要なことに向けなさい。
・Let me put it in another way. 別な言い方で言ってみよう。
・He put Goethe into English 彼はゲーテを英語に翻訳した。

これは全て、「置く」というよりも、「馬を荷車に落ち着かせる→馬を荷車につなぐ」「心を
もっと重要なことへの位置させる→心をもっと重要なことに向ける」「それ(it)を別の方法の中に位置させる→別な言い方で言う」「ゲーテを英語のなかへと落ち着かせる→ゲーテを英語に翻訳する」と考えた方が、意味が通るでしょう。putは「置く」というよりも、「落ち着かせる・位置させる・仕向ける」なのです。冒頭のput offもそうです。

・Don’t put off till tomorrow what you can do today. 今日できることを明日まで延ばすな。

「今日できること」を「明日」という離れたところに「落ち着かせる」から、「延期する」という意味になるのです。

渡部先生